奈良の茶粥の歴史は古く、鎌倉時代には僧侶の間で食され、後に庶民に広まりました。大和では茶粥を「おかいさん」と呼ばれていて、昭和30年代頃までは「奈良の朝は茶粥で始まる」といわれるほど、奈良県とその近隣地域ではどこの家庭でも毎日食べる主食でした。茶粥は「ちゃん袋」と呼ばれる木綿の袋に日本茶(ほうじ茶)を入れて炊きだし、そこに米を入れて煮たものです。粘りが出ないようにさらっと炊きあげ、ねばりのないのが特徴で、季節によりさつまいも、栗、小豆、そらまめを入れて煮たり、夏は冷やして食べることもあります。
昔から「大和の茶粥、京の白粥、河内(大阪東部)のどろ喰い」と言われ、お粥の固さや食べ方にも土地柄があったようです。以前に比べると食べられることが少なくなったとはいえ、まだまだ大和の食習慣に茶粥は生きています。これまで受け継がれてきた食文化を大切にし、地域に脈々と伝わってきた郷土料理、食文化を、次の世代にも伝えていきたいものです。
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