八岐大蛇(ヤマタノヲロチ)
ある日、スサノオが出雲(現在の島根県)のあたりを歩いていると、老夫婦が泣いていました。娘が大蛇(ヲロチ)のいけにえになると言うのです。その怪物は八つの頭と八つの尾、木々が生えた体を持ち、腹は血がにじみ赤くただれており、その大きさはというと、谷と尾根をそれぞれ八つにわたるほどといいます。そこでスサノヲは大蛇を退治するかわりに娘と結婚をする約束をかわしました。
まず最初に、生贄に捧げられようとしていたクシナダヒメを櫛に変えて自分の髪に隠すと、両親には、強い酒を作り、八つの門を持つ垣を巡らすように命じました。そしてそれぞれの門に祭壇を作ると、酒を満たした酒樽を置きました。こうしてヲロチを酔わせると、すかさず寝入っている隙に、腰の剣をひき、ヲロチの頭や尾を切り落として倒したのです。その時、剣の刃が欠けました。どうしたものかとのぞいてみると中から神秘の剣が出てきたので、アマテラスに献上しました。これが、草薙剣(クサナギのツルギ)で、のちの天岩屋伝説の八咫鏡(ヤタノカガミ)や、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)と共に三種の神器として崇められるようになったものです。
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