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国譲り

大国主命(オホクニヌシノミコト)が国造りを始めてからしばしの歳月が流れたある日の事、大国主命の国が繁栄している様子を眺めた天照大神は、葦原中国は自分の御子が治めるべき地であると宣言し、我が子アメノオシホミミへ国を譲らせようと考えました。しかし天浮橋から下界を見下ろして、神々が暴れているのを見たアメノオシホミミは引き返してします。そこで天照大神は御子の降臨の準備をするため、アメノホヒを交渉の使者として下界に遣わしました。ところが彼は、逆に大国主命に心服して地上に住み着いてしまいました。

次に任務に就いたのはアメノワカヒコでした。しかし、素晴らしい弓矢を与えられて勇んで地上に降り立ったものの、大国主命の娘、シタデルヒメに出会ったことで、その決意は翻されてしまいます。天上に妻がありながらシタデルヒメをめとり、大国主の跡取りにでもなる様子です。天照大神は役目を思い出させるため、キジのナキメを遣わしました。ところがアメノワカヒコは、言葉に耳を傾けるどころか、その使者を配下の者の進言によって射殺してしまいます。ナキメを射抜いた矢は、高天原最高神の一人、タカミムスヒのもとまで飛びました。彼は血のついた矢が、アメノワカヒコのものと知ると、アメノワカヒコに邪心がなければ当たらず、高天原に背いてのことなら射殺するようにと念じて矢を放ちました。するとその矢は、寝床に横たわるアメノワカヒコの胸を刺し貫きました。

この後、高天原からも参列者がある中で喪屋(モヤ)が建てられ葬儀が執り行われたのですが、この時、シタデルヒメの兄アヂシキタカヒコネの姿を見たアメノワカヒコの家族が驚きの声を上げます。アヂシキタカヒコネがアメノワカヒコにうり二つだったために、家族達が勘違いをしたのです。死人と勘違いされたアヂシキタカヒコネは怒り、喪屋を蹴り飛ばし、これが美濃国(現在の岐阜県)の喪山になったということです。

その後も再三にわたって使者を送り続け、最終的に経津主神(ふつぬしのかみ)が派遣されることになり、最後には大国主命は国譲りを承諾し、その代償として神の御殿のような立派な住居を求めました。天照大神は承諾し、出雲大社を建てて彼をそこへ移しました。かくして出雲の地は天孫の治める天領となり、国土統一の基盤ができあがったというわけです。
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