一寸法師
昔、昔あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
子供のいない老夫婦が子供を恵んでくださるよう住吉の神に祈ったところ、老婆に子供ができました。しかし、産まれた子供は身長が一寸しかなく、何年たっても大きくなることはありませんでした。子供は一寸法師と名づけ、宝物のように育てました。
ある日のことです。一寸法師は武士になるために京へ行きたいと言い、おわんを船に、箸をかいにし、針を剣の代わりに持って旅に出ました。川につくと、おわんに飛び乗り、川を下っていきました。波に揺られ、雨にうたれ、風に吹かれ、やっとのことで京に着きました。そこで大きな立派な家を見つけ、働かせてもらうことにしました。
ある時、その家の娘と宮参りの旅をしていると、鬼が娘をさらいに来ました。一寸法師が娘を守ろうとすると、鬼は一気に一寸法師を飲み込んでしまいました。一寸法師は鬼の腹の中を針で刺すと、鬼は痛いから止めてくれと降参し、一寸法師を吹き出すと、持っていた打出の小槌を置いて山へ一目散に逃げていってしまいました。
一寸法師は打出の小槌を振って自分の体を大きくし、娘と結婚しました。金銀財宝も打ち出して、望んだ通り立派な武士になり末代まで栄えましたとさ。
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