天岩戸（アマノイワヤド）

素戔鳴尊（スサノヲノミコト）は、海原をおさめる務めを果たさず、母のいる黄泉国に行きたいと泣いてばかりいました。

いとまごいのために、天上の高天原（タカマガハラ）の姉、天照大神（アマテラスオオミカミ）を訪ねましたが、そのときの荒々しい騒ぎに、姉は弟が国を奪いに来たのかと男の姿で武装してのぞみました。弟は邪心のない証明に、誓約を行なった結果、潔白を認められ、そのまま高天原（タカマガハラ）に住むことが許されました。しかし素戔鳴尊（スサノヲノミコト）は、調子にのって高天原で乱暴を始めました。

とうとう、皮をはぎとった馬の死骸を落として驚いた機織りの女官を死なせてしまいました。天照大神は、今までの乱暴は許してきましたけれど、今回の乱暴ばかりは許せず、ついに怒って天岩屋（アマノイワド）に閉じこもってしまいました。

すると天上も下界も真っ暗になり、悪い神が騒ぎ出し、災いが生じ始めました。困り果てた八百万(ヤオヨロズ)の神々は相談し、高天原一の知恵者、思兼命（オモイカネノミコト）の名案を実行することになりました。
まず、ニワトリを岩屋の前に集めてきてひっきりなく鳴かせ、天宇受賣命（アメノウズメ）が桶の上に立ち、体があらわになるほどに激しく踊りだしました。女神の愉快な踊りを見て、多くの神々が一斉に笑います。天照大神（アマテラスオオミカミ）は外の賑やかな様子を不思議に思い、岩屋の戸をほんの少し開けて外を覗いてみました。そこへ一柱の神が鏡をアマテラスの前に差しだしました。鏡に女神の顔が映ります。しかし自分の姿だと気付かないアマテラスは、外にいる女神をよく見ようと、少し戸から出てきました。その時隠れていたアメノタヂカラヲという力持ちの神が、女神の手を取り外へ引き出し、すかさず背後に回った神が岩屋を封印。

こうして、高天原にも葦原の中つ国（地上世界）にも光が戻り、明るくなりました。

前のページへ戻る
神奈我良ＨＯＭＥへ戻る