日本庭園は非常に古く、ゆうに千有余年の歴史があります。その原点は「環状列石」「神池・神島」「磐座・磐境」等だと言われています。これらはどれも庭園とは呼べる物ではないですが、後にこれらが庭園へと発達したのではないかと言われています。
遺跡の時代には庭園という概念はなかったと考える方が自然ですから、これを庭としての石組とみるのには無理があります。しかしながらこの時代における環状列石や、また山の中腹などに露出している岩などを、信仰の対象として崇め奉った磐座(いわくら)などは、自然や神々に対しての信仰心から始まったものであり、このことから考察していくと、これらをさらに昇華させていったものが、現存している庭の石組へと変遷していくわけです。その変遷過程の中で重要な役割を果たしたのが、大陸から流入してきた文化、宗教、哲学などであり、これらの思想を背景とした意匠によって、『日本独自』の空間芸術としての庭園を造りだしていくのです。